仙台育英高校のサッカー部が部内での「いじめ重大事態」発生を受けて、12月28日に開幕する第104回全国高校選手権の出場を辞退することになりました。過去の高校サッカー界では部員の飲酒や喫煙などで県大会の出場を辞退するケースはありましたが、全国大会の出場権を得ながら、出場辞退に追い込まれるのは異例中の異例です。同校サッカー部の保護者の見解やいじめ問題に詳しい弁護士の見解、宮城県代表として他校が出場する可能性をまとめました。

ココがポイント

エキスパートの補足・見解

　高校サッカー界で近年、いじめ問題が物議となったのは熊本県の強豪、大津高校サッカー部で部員が全裸で土下座させられたケースです。仙台育英高校と同様に「いじめ重大事態」と認定されただけでなく、全裸で土下座を強いたとして、当時の2年生が強要罪で在宅起訴され、公判中という事態に至りました。

　大津高校の問題に関して、熊本県教育委員会の第三者委員会は「強豪校で夢を見て入学しながらも、試合に出場できないなどの悩みを抱えた部員が多く存在し、いじめが発生しやすい状況にある」と指摘。仙台育英もサッカー部内での一連の問題について「本調査によって、必ずしも一部の生徒だけに限られたいじめ事案ではなく、サッカー部全体、顧問団ならびに生徒の人権意識が不十分なために、『構造的いじめ』を生じさせ、これを見逃してしまう体制であったことが明らかになりました」と同校のHPで発表文を掲載しています。

　宮城県代表として他校を推薦するかどうかは、実行委員会の判断に委ねられるとのことですが宮城県大会の決勝で仙台育英に敗れ、準優勝となった聖和学園も3年生は引退済み。代替出場も簡単ではないでしょう。

　選手権の抽選会は11月17日に予定されています。